便秘について

便秘は若い人から高齢の方までどの年齢層にもみられる状態です。
便秘と一口に言っても、『何日も出ない』『下剤を飲まないと出ない』『便が固い』
『いきんでも出ない』『残便感がある』などの症状があります。
回数も、『毎日でないと気が済まない』人もいたりします。
便の回数には個人差があり、1週間に3回未満の人が一般に便秘と言えます。

便秘の原因?

毎日の生活習慣、腸や骨盤の働きの異常、全身の病気(脳卒中や寝たきり状態)、薬など様々な要因が考えれます。偏食や、ダイエットにより食物繊維の量が減るのも、寝たきりやステイホームなどで、体を動かすことができないのも便秘の原因になります。
生活習慣病:食物繊維不足、運動が少ない
疾患:① 腸の疾患 過敏性大腸炎、大腸がんなど
   ②骨盤内疾患:直腸がん、腸重積、アニスムス
   ③ホルモンの病気:糖尿病、甲状腺機能低下症
   ④神経の病気:パーキンソン病、多発性硬化症、脳梗塞などの脳卒中、脊髄疾患
   ⑤精神疾患:うつや、神経性食欲不振症
薬:鎮痛薬、抗うつ薬、向精神薬、睡眠薬、血圧を下げるお薬、腹痛を止めるお薬、麻薬など

便秘治療の考え方!

便がどこに停滞しているかによってアプローチの仕方が異なります。
したがって、下剤をタイミングと状態に合わせて使い分ける必要があります。
便がたまっている場所の種類:おなか(腸)、出口(直腸、肛門)、その両方
おなかの便秘の種類:痙攣性便秘(過敏性腸症候群など)と弛緩性便秘(高齢者)
出口の便秘:出残り便秘(便意を我慢する癖のある人)、鈍感便秘(便のセンサーが弱った人)

治療薬について

おなかの便秘には、一般的なものは、酸化マグネシウム→マグミットと呼ばれる緩下剤です。
大腸における水分の吸収を抑制します。便がさほどたまっていないのに緩下剤を飲むと、びちゃびちゃの便が出るだけなので、タイミングを計る必要はあります。
マグミットを使用しすぎると、高Mg血症になってしまうので、少なめに使用しましょう。

次によく使われるのが、センナ、プルゼニド、大黄、アロエなどの大腸刺激性下剤です。
毎日服用して4カ月、時々の服用でも9カ月で大腸メラノーシスを生じ、飲んでも効果が
なくなってしまいます。若い人は、刺激がいいからと言って、安易に長期のセンナ系は
やめといたほうがいいです。高齢の方も、盲目的にセンナを飲んでいる人が多いですが、
腸が全然反応しなくなっている人を多く見かけます。

最近は、新薬として4種類の薬が存在します。
リンゼスとアミティーザとグーフィスとモビコールです。
リンゼスは、腸粘膜を刺激し、腸液の分泌を促します。下痢になることがあるようです。
アミティーザは、小腸に作用して腸液の分泌を促します。吐き気嘔吐が出ることがあります。
グーフィスは、腸管のベルトコンベアーの働きを強めます。腹痛、下痢が出ることがあります。
モビコールは、水分に溶かして飲むことで水分を腸に届け、便を柔らかくして排泄しやすくします。
モビコールが唯一1日6包まで飲めるので、自分で調節が可能な薬として重宝しています。

出口の便秘には、レシカルボン座薬や、浣腸が効果的です。
おなかが張っているからと言って浣腸をしても効果がなかった人がいるのは、
タイミングなどを間違っているからです。
指を入れて確認する人もいますが、肛門付近の皮膚と違って、腸管内の粘膜は柔らかく、
爪などで腸管を傷つけ感染症になってしまうこともあります。

最近聞いた勉強会によると、便は力んだ時に出るのではなく、ゆるんだ時に出るようです。
トイレできばっても出ないときは、一旦その場から離れて、
リラックスしてみるのもいいかもしれません。
力みすぎは、脳出血や、高血圧、痔のリスクを高めます。

治療薬 やめどき

便の形に関して3~5を目指すことと言われています。2~3日に一度便が出るようになったら、
減量することをお勧めします。


生兵法怪我の元!!一度、腹部CT撮影することをお勧めします。

下剤の効果を高めるためには

薬だけで便秘をなおすことはできません。
3食食事をすることや、食物繊維を取ること、水分を取ること、運動することも大切です。
最近、食物繊維の勉強をしました。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があり、水溶性食物繊維は、海藻類、こんにゃくで、不溶性は豆、野菜きのこなどのようです。どちらもとる必要性があるようですのですが、なかなかむつかしい時には、サプリメントを併用するのもいいと思います。
水溶性食物繊維:イヌリン、イージーファイバー等です。
腸を動かせば、最近話題のコロナの免疫獲得にもつながる可能性があります。